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ニドム加工

目次

ニドム加工:processing with a Nidom machine

ニドム加工とは、素材の生地を叩いて揉むことで柔らかくする加工の事です。ヴィンテージ(アンティーク)風の質感や風合いに仕上げることが出来る事が特徴です。

日本生まれの加工技術

1988年にイギリスのコートルズ社が開発した精製セルロース繊維「テンセル」の専用加工機として、ニドム加工機は1995年頃に日本で開発されました。残念ながら正確なところは定かではありませんが、元は株式会社大涛興産という新潟の会社が開発した設備「ニドム」を、愛知県に在る艶栄工業株式会社が商標ごと買い取ったものらしいです。よって、厳密に言えば、ニドム加工は現在では艶栄工業株式会社が唯一継承した加工となり、他社による「ニドム風」加工とは区別されるものの様です。今では艶栄工業株式会社がニドムで加工した生地を「彩艶(さいえん)」「麗艶(れいえん)」「TSB」の商標で商品化しており、ニドム加工に於いては一目置かれる存在となっています。

ニドム加工の特徴

ニドム加工による風合いの特徴は水中での「揉み・叩き」加工と、その加工で発生するフィブリル(分繊)を酵素を用いてコントロールすることによって生み出しています。製品洗いの表情や風合いを生地(原反=げんたん)で表現する加工なのですが、ニドム加工による生地特性としては、ドレープ感や弾力性(プリプリ感、ハリ・コシ)、カサ高感がまず挙げられます。これはニドム加工機で織物を水中でリラックスさせた状態で膨張させ、生地の同士の表面を揉み叩き加工によってこすり合わせることで、天然素材の特性であるブレード性やハリ・コシ感を持つ弾力性を与え、同時にフィブリルを発生させる過程で生まれます。また表面感としては、うぶ毛調、マットな光沢、肌触りの良さが特徴です。更に機能面においては、高吸水性、高放湿性、速乾性が特徴なのですが、上記フィブリルを分解酵素(セルラーゼ酵素)で均一にコントロールすることによって、独特なパウダー感やタッチ、滑らかな表情を作り出すのです。ニドム加工はテンセル用に開発された加工技術ですが、テンセル以外の高密度天然繊維の生地にもテンセルの膨張性やフィブリル化に似た表情を再現できる事に着目し、現在では高密度なコットンへの展開も取り組まれています。

ニドム加工機について

この加工機最大の特徴は、各室に仕切られたドラムが高速で回転しながら内部の水は連続して激しく空中に持ち上げられてはドラムの底に落とされる事にあります。その中で生地は互いに絡み合い、叩き合いフィブリルを発生させるのです。繊維のシワの発生を抑えるべく設計されたドラムと、インバーター制御によってそのドラムの回転方向、速度、時間を生地の織り方、重量、厚さ、幅等によりきめ細かにコントロール出来る様になっています。かなりマニアックな話になってしまいましたが、日本の技術は本当に凄いものだと感心せずにはいられません。

最後に

加工の技術向上のお陰で、今では多くのファッションアイテムで、その独特な風合いを求めてニドム加工品が採用されています。特にアンティークな風合いは着回しの中で抜け感を演出できる為、
単に古着スタイルだけでなく、綺麗目コーデにおいてもニドム加工アイテムを取り入れると、キメ過ぎずリラックスした感じにさせます。また、トレンチコートの代名詞といえる、英国のアクアスキュータムの高級トレンチなどでもニドム加工により敢えてヴィンテージ風な仕上がりにしたものがあり、高級なアウターに持ってくることで、キメすぎない高級感が演出できてとてもチャレンジしやすいアイテムになると思います。

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